白い家
敷地は古い住宅地のなかにあり、東西に細長く、東に空き地をもつ。
考えた事は、細長く立ち上がる内部空間をどう構成するかということと、東の空き地に開くこと。
また古びた町並みにとりこまれてしまわないよう、まっ白な外観にしようと思った。
施主の希望は二階にパティオ(プライベートな光庭)を持つこと。
自分が前回設計した、そんな家を気に入られて、訪ねてこられた。
その家は敷地が細長く、建築内部は奥行き方向に空間が3分割され、真ん中にパティオをもつ。
状況がよく似ていた。 同じように奥行き方向に空間を3分割して、中心にパティオを配置した。
ただし、今回のパティオは開閉できる開口部をもった、ソトにもナカにもなる場を望まれた。
パティオから入り込む光が内部へもたらす影響を考え、ある壁を立てることにした。
この壁は施主のえらんだ美しい植物柄の壁紙を貼り、様々な穴を開けた。
光を通す穴、人を通す穴、風を通す穴。その開口が表情をつくり、光が織り成す空間をつくる。
光をよびこむパティオ、その光を受け止めるリビングとダイニング。
この住まいは、その2つの壁を行き来しつつ生活が行わる。
生活の中にたつ印象的な2つの壁は、この家のシンボル。
例えば大黒柱のような、精神的なより所になると期待した。
「図と地」、 《figure and ground》心理学で、ある物が他の物を背景として
全体の中から浮き上がって明瞭に知覚されるとき、前者を図といい、背景に退く物を地という。
この住まいの2つの壁は「図」。 そのほかの「地」はすべて白にすることにした。