ル ー バ ー の あ る 家
メビウスの輪のように
どこまで歩いても終わりのこない
そんな住宅があったらと思った
両側から隣家がせまって
南側も仕事場所 窮屈な周辺環境
でも南からの光と空はほしかった
長細いヴォリュームを
ぐるんとまるくすると中庭ができた
自分たちだけの場所 誰からも見られずに
空を見ることができる場所
ルーバー: 季節による太陽高度の変化を利用して
夏は浅く 冬は深く光をとりいれる装置
2階から南の空にむかって大きな窓をつくった
そこに光の量を調整するルーバーをつけた
家の中をグルグル歩いて
たどりつくルーバーのある部屋
そこにいけばいつでも視界いっぱいの空
だからどの部屋にいても
南の空をおもって暮らすことができる
中庭
中庭は「構築された外部」だ
壁に囲まれ守られた場に内部/室内は
かかわりをもとめて開いていく
するとおだやかに光や風や空
(建築の周りにあるおおきな世界)と
接することができる
気持ちの良い場所がそこかしこに生まれる
中庭は生活の中心として大切なものだ
回遊
建築は限られた敷地に建っている
だからふつう廊下はすぐに行止る
でもその廊下/部屋がドーナツ状に
つながっていれば ぐるぐるといつまでも
歩き続けることができる 終わりのこない動線
生活していると無限のひろがりをかんじて
のびやかな気持ちになれる
共棲
この住宅には2世帯の家族が住んでいる
結果3つの領域ができる
それぞれの世帯の場所と共用の場所
(今回はダイニング キッチン お風呂などは共有)
家族それぞれのその時の 気持ちに対応できるよう
中庭による対面した部屋の距離感や建具の開け閉めが
室内環境をコントロールする
彩色
フィンランドの人たちは閉じ込められがちな
冬の室内を少しでも雰囲気の明るいものにしようと
意識的に華やかな色彩をインテリアに取り込むという
冬期の生活の知恵である
富山でもそのことはあてはまると思い
この住宅では部分的に意図的な彩 色をほどこした
意識化された色彩計画
プロジェクト名:ルーバのある家
建築用途:専用住宅
所在:富山県高岡市長江
工事期間:2004.03〜2004.08
主体構造:在来木造
主要仕上材:GL鋼板平葺/GL鋼板AT葺
建築面積:101.15u
延床面積:148.40u
1F:90.27u +2F:58.13u
敷地環境:市街化調整区域内での計画。周辺は工場が多い。
隣家がせまり 敷地南側には鉄くずがつまれていた