「音楽スタジオからでる音を少しでも外に漏らさないようにしたい」
周辺に配慮した施主の要望から、建物中心にスタジオをおいた住宅。
敷地は街から少し離れ、周辺は田や畑が広がるなかにドコモの電波塔がたつその前。
スタジオからでる音を気にして、密集した住宅地ではなく
今後できるだけ建設予定がない隣地や道路に接した場所を選択した。
建築費の制限を考えると、個室化するの部屋はできるだけなくし
部屋の大きさは最小にして、共用スペースを大きくとった。
吹抜け部分に梁をかけ、後の子ども室の増築に備えた
スタジオはドラムを叩くこともあるため、
コンクリートブロックで壁をつくったり、その上に防音処理をした。
特に床は低音の振動を防ぐため砂を引いた上にゴムをはった床をおいてた。
さらにスタジオの上は寝室にして、コアになってたちあがり、この建築の核となる。
スタジオは構造的中心になって建物全体を支える。
そのコアと外側のハコからなる入れ子の空間。
音を漏らさないよう窓を少なくしたい。でも閉鎖的にならないよう、
水平の細い窓、スリット窓を360度つなげて
どこからでも光がはいり、陽の動きが感じられるようにした。
パノラマ窓。
この住宅の動線は、スタジオを中心にしてぐるぐるまわる。
回廊状の空間に居間、キッチン、玄関、浴室、物干などがあり、
ひとつながりの場として連続する。8m×8m正方形の大きさ
回遊性連続室。
この建物には四隅に柱がない。そのことがパノラマ窓の連続性を高める。
ソトへと連続的につながることで生まれる開放感。
終わりのこない回遊動線と、それに同調するようにまわるパノラマ窓。
四方から光を導き外への意識のつながりをつくった。
そんなに大きくない、比較的閉じられた気積のなかに、
開放感と自由さがある場を目指した。
南東からみた外観。 平面8m×8m、立面もほぼ同じ大きさのキュービックなカタチ。 その中央をめぐるパノラマ窓。 基礎の面を少しさげて浮いた感じをだした