素の住まい

 

 

コンセプトは「できるだけプレーンで、スケルトン、自由な住まい」

・引渡しは完成ではなく、施主と住まいとのやりとりの始まり

・背後にある高速道路からの影響を軽減するため内部北面の1Fは水廻りを一列に配置し、2Fは収納にし
 
 その仕切りに、重量のある自立壁、LVL木層ウォールをたてた

・間仕切りも必要最低限。基本的にワンルームの空間。完全にとじる場所はトイレのみ

・1F床は仕上げのないコンクリート土間のまま

・2Fに吹抜をかいして夫婦と子の個室がある。仕切りはカーテンのみなので空間はパティオと連続している

・南側に大きな開口2.7m×2.7mをとり、太陽の入射角を考慮し9つに分割し、奥行60cmの縦横の庇をつけた

・母屋のアプローチにそって建つので、1Fにつく窓は外を歩く人から容易に覗かれないよう取付け位置を高くした

・電気配線はレースウェイをつかった非隠蔽配線。いつでも内容変更できるこの家らしいカタチ

構造

・小屋ばりをもうけず、鉄筋のテンション材とした(ターンバックルはノードフリー120φ/ストローグ)

・ピッチ910にて連続する家型フレームの柱と登梁の連結は柱かちとし、コネクタ(HSP-100L/ストローグ) により接続した

・河川の氾濫に対してコンクリート壁を土間コンクリートから1.2m立ち上げ、そこからベンチや洗面台をコンクリートでつくった

・コンクリート土間と腰壁は冬場には蓄熱体となる

・建物長手方向には土台がない。コンクリート壁に直接柱を柱脚コネクタ( HSBC-40kN/ストローグ)にて接続し強固な構造とした

・建物短手方向は構造用合板にて耐力壁とし、必要なクギを必要なピッチでうったものを、そのまま表しとした

・自立した壁LVL木層ウォール(Face.Solid/ストローグ)をたて、高速道路からの影響を軽減する存在、この家のシンボルとした

・コンクリート腰壁の高さを階高の1/2以下とすることで、建築法規的には2階建ての木造住宅とした。

 

要望

・「未完成の状態」で引き渡ししてほしい   ・背後にある高速道路に配慮してほしい

・1F床はコンクリート土間にしてほしい  ・2Fにそれぞれの個室 夫婦と子二人分がほしい

・母屋の敷地内にあるので、各世帯感のプライバシー配慮のこと

 

 

母屋との関係

敷地には大きな母屋があるが、若世帯は同居は望まず、敷地内に離れを建てることにした。

お互いのプライバシーを確保し、子供が行き来したりすることで、自然な交流が生まれる生活。

南西方向についている9分割された大きな開口は、この住まいの中心にある。そこからの光が内部への主の光となる。

その大きな窓からは、日本庭園がよく見える。母屋は縁側から庭園につながっており、子世帯は2階の大きな開口から庭園につながる。

2つの建物の位置は、日本庭園を介してななめの位置にある。正対していない、アイレベルも違う。

そのことが、お互いの世帯の精神的ゆとりにつながることを期待した。それでもスープの冷めない距離には違いない。

 

周辺環境

北側に高速道路が走る郊外の住宅地。敷地は大きく、中には母屋、日本庭園、倉、畑、車庫などがある

 

process

平成30年度 第49回富山県建築文化賞建築賞受賞作品