白い家
 
 
敷地は古い住宅地のなかにあり、東西に細長く、東に空き地をもつ。
考えた事は、細長く立ち上がる内部空間をどう構成するかということと、東の空き地に開くこと。
また古びた町並みにとりこまれてしまわないよう、まっ白な外観にしようと思った。


施主の希望は二階にパティオ(プライベートな光庭)を持つこと。
自分が前回設計した、そんな家を気に入られて、訪ねてこられた。
その家は敷地が細長く、建築内部は奥行き方向に空間が3分割され、真ん中にパティオをもつ。
状況がよく似ていた。 同じように奥行き方向に空間を3分割して、中心にパティオを配置した。
ただし、今回のパティオは開閉できる開口部をもった、ソトにもナカにもなる場を望まれた。
パティオから入り込む光が内部へもたらす影響を考え、ある壁を立てることにした。
この壁は施主のえらんだ美しい植物柄の壁紙を貼り、様々な穴を開けた。
光を通す穴、人を通す穴、風を通す穴。その開口が表情をつくり、光が織り成す空間をつくる。
光をよびこむパティオ、その光を受け止めるリビングとダイニング。

この住まいは、その2つの壁を行き来しつつ生活が行わる。
生活の中にたつ印象的な2つの壁は、この家のシンボル。
例えば大黒柱のような、精神的なより所になると期待した。
「図と地」、 《figure and ground》心理学で、ある物が他の物を背景として
全体の中から浮き上がって明瞭に知覚されるとき、前者を図といい、背景に退く物を地という。
この住まいの2つの壁は「図」。 そのほかの「地」はすべて白にすることにした。

スタジオb  全面開放の引き戸をあけきると居間とつながる

 

 

キッチン

壁にいろいろな穴を開けた。通行するための光を通す穴、風を通す穴、意識が抜ける穴。 様々な開口もつ自由な壁。
パティオに面した2階ホール。光がたくさん入るこの開放的な場所は子供たちの机が並びワークスペースとなっている。
photo: ryouhei yanagihara
パティオ
パティオ 東に大きな開口をもつ。ここから入る光の量は法的に2階全体の必要な採光を確保している
南東よりはなれて見た外観  ガレージは通路にも屋根がかかりエントランスまで雨にぬれずに行くことができる
この住宅はフラット35を採用しています。
エントランスホール。パティオからの光が落ちる。植物のパターンが版されたイギリスの壁紙を貼った壁。

 

南側外観。ファサードは白漆喰仕上げ。敷地は古い住宅地のなかにあり、東側に空き地をもつ。
キッチンから連なる3つ場を見る。手前からダイニング、パティオ、リビング
パティオ。 2階にある光庭 。開口部は開閉ができ、空気はソトになったりナカになったりする。
東からみた外観。 2階中央にパテイオの開口がある. 1階エントランスもその下にありパテイオからの光がおちる
TJとやま六月号に掲載 2015